8月19日から、いよいよ「ブエルタ・ア・エスパーニャ」開催! 今年最後のグランツールで、9つの頂上ゴールを含む全21ステージで競われる、陰ながら「一番面白いグランツール」と噂のレースです。そんなビッグレースを前に、かつての英雄が密かにカムバックを果たしつつあります。ツール・ド・フランス7連覇(はく奪)のランス・アームストロングの今とこれからを覗いてみます。
ツール・ド・フランスのPodcastで大人気を博したランス・アームストロング
いろいろなところで目立つランス・アームストロング。直近で言えば、7月のツール・ド・フランスでのPodcast配信「Stages」でありましょう。
今年のツール・ド・フランスのために立ち上げた「Stages」
2013年にドーピングを告白したランス・アームストロング。以来、さまざまな本やドキュメンタリー、映画が世に出るなど、7連覇の偉業とその反動の大きさを感じられる4年間でした。しかし、それは周囲が騒いでいたこと。当の本人は何をしていたか、というと・・・。何してたんでしょうね(;^_^A レースに出ようとして断れたりとか、そう言った話やニュースは見聞きしましたが・・・。
いずれにせよ、そんなロードレース界の渦中の人物が今年のツールのために立ち上げたのが「Stages」というポッドキャストでありました。「なぜポッドキャスト??」「それで収益になるの??」とか無粋なことを考えてしまいましたが、いずれにせよ、情報発信の手段を得たランス・アームストロングはゆっくりロードレース界にカムバックしてきたのであります。
もともと「THE FORWARD」というポッドキャストをやっていた
ランスにとって「Stages」が初めてのポッドキャストではありません。2016年に「THE FORWARD」を立ち上げ(今もやっている)、作家のMalcolm GladwellやNFLプレイヤーのBrett Favreにインタビューしたりしていたそうです。
評判は良かったみたいながら、どれくらい流行っていたか、というとどうでしょう?? CNNのレポートから推測するに、放送日の視聴者は約15万人だったようです。
出典:Lance Armstrong: ‘A man with no platform is a lost man’
視聴者500万人の一大ポッドキャストに
Missed a zero – it was 5,000,000. https://t.co/quk1qtteL3
— Lance Armstrong (@lancearmstrong) 2017年8月12日
そして、この「Stages」が一躍?人気になった今年のツール・ド・フランス。なんとビックリ、視聴者500万人だって!! 何がきっかけだったのか、もともと視聴者が多かったのか、単に名前が知られるようになったのかは分かりません。
しかし500万人というのは凄いこと。凄いことでありますよ。日本を代表するYouTuberのチャンネル登録者数トップとほぼ同じ(はじめしゃちょー(hajime):535万人)であります。
ちなみに、ワタクシことユーチューバー・borikoのチャンネル登録数は46(;´Д`) 登録していただいただけでも幸せです。ありがとうございます、ありがとうございますm(_ _)m 動画、想像以上に大変でしたw
Stages、サイクルロードレースに出禁
大人気を博しているアームストロングの「Stages」でありますが、USADA(全米アンチドーピング機関)/UCI(国際自転車競技連合)は激おこな模様。
「Colorado Classic」でUSADA激おこ
「Stages」のあまりの人気に目を付けたのがアメリカ・コロラド州で開催される「Colorado Classic」の主催者。「Stages」で紹介してもらう見返りに制作費と旅費交通費を払う契約を結んだそうなのです。
それを知ったウサダちゃん、もうガチギレ(;゚Д゚) 「Colorado Classic」と「Stages」の提携に懸念を表明したのであります。
The agency said that the terms of Armstrong’s ban prevent him from “participating in any activity or competition” hosted by a group that falls under the agency’s anti-doping regulation.
〔抄訳〕アームストロングの追放には、USADA管轄の主催者による「いかなるイベントやレース」への参加も含まれる(=USADAと関連するイベントやレースに、アームストロングはダメ絶対)。
出典:UCI says Lance Armstrong ban means he cannot partner with race organisers for podcasts
マーケティングパートナーシップ解消
USADAの逆鱗に触れてしまった「Colorado Classic」のオーガナイザー。即座に「Stages」との契約を解消します。さすがこういう動きはアメリカ早いでありますな。日本だとズルズル決断先伸ばしにして、さらに批難轟々なパターンがありそう(´・ω・`)
Shortly before the widely anticipated cycling race begins from Colorado Springs, Colorado Classic officials have severed their previously announced relationship with Lance Armstrong and the controversial cyclist’s podcast.
〔抄訳〕「Colorado Classic」開始直前になってオーガナイザーはランスおよび“物議を醸している”「Stages」との契約を解除した。
出典:Colorado Classic breaks ties with Lance Armstrong, who won’t come to Colorado Springs with podcast
ちなみに「Colorado Classic」は2017年初開催の4日間にわたるステージレースだそうで、ツアーオブカリフォルニアで大活躍した「Rally Cycling」のほか、BMC、キャノンデール、トレックなどが出場。日本からはNIPPOヴィーニファンティーニが参戦しています。
ポッドキャスト「Stages」の行方
という訳で、やはりかつての英雄は何をしても目立ってしまうのですなぁ(;´Д`) 念のための論点整理とランスの今後について少しだけ。
問題は「追放処分」が「公式イベント」に“オフィシャル”で参加すること
「Colorado Classic」についての問題点は、「追放処分」になった人間が、その処分を下した機関の「公式イベント」に“オフィシャル”な立場で参加すること。サッカーでも野球でもどんなスポーツでも、永久追放になった元選手が競技に何らかの形であっても参加したらいかんだろう、というところでしょうか。
ただしポッドキャストをやるのは自由
その一方で、USADA/UCIは、「Stages」を放送するの自体は当然ながらランスの自由であることを認めています。
They did however add that they “do not regard this limitation as preventing Lance Armstrong from attending cycling events or conducting a podcast on (or otherwise commenting upon or speaking about) cycling and any other topic.”
〔抄訳〕公式イベントへの参加や契約は認めないけど、それ以外の自転車イベントに参加したり、自転車その他のトピックについてポッドキャストを放送したり(コメントしたり、会話のネタにしたり)するのは本人の自由。
出典:UCI says Lance Armstrong ban means he cannot partner with race organisers for podcasts
ブエルタ・ア・エスパーニャは放送するのかな?
そんな渦中のランス・アームストロングと「Stages」ですが、はてさてブエルタ・ア・エスパーニャではポッドキャストをやるのかな?? こんな肝心な情報を見つけられないとはwww この「Stages」、翻訳・要約しているブログがどこかにあった気もするし・・・。
ちなみにこの「Stages」、聞いてみると結構面白いです。ランスやヒンカピーによる選手評があったり、コースの走り方が解説されていたりと、十分聞きごたえがあるものであります。時間があるときに、僕もどこかのステージの「Stages」を要約してみよう、そうしよう(*´ω`)
ランス・アームストロングの2017年後半
最後にランスの2017年後半について。いよいよ裁判が始まるようです。
ランスの決戦は11月6日
USポスタル所属中にドーピングして詐欺を行ったとする裁判が今年の11月6日から始まります。訴えられた被害額は1億ドルという莫大なもの。う~ん、これはどうなるんでしょうねぇ。。。(;´Д`) ここら辺の背景については『シークレットレース』という本が詳しいです。翻訳本ながら非常に巧みな日本語で、ここ最近のベスト書籍であります(*´ω`)
That’s looming and I’ve got no choice but to fight the case. For now, I have to get on with my life
〔抄訳〕訴訟は迫りきていて、闘う以外に選択肢はない。今はとにかく自分の人生をやり繰りしていかないといけない。
出典:Lance Armstrong: ‘A man with no platform is a lost man’
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