「黄金のタレ」をご存じですか!? 焼肉ではありません(´_ゝ`) ヒルクライムとかの後半になるとガクンとペースが下がるアレですアレ。なぜ後半タレてしまうのか!? 理由は単純にして残酷。自分の体力以上に前半頑張り過ぎて、最後まで走り切る体力がなくなるからであります。
そんなロードバイクならではの「黄金のタレ」を見る指標があります(あるんですって!)。それが「デカップリング(Aerobic Decoupling:有酸素域のパワーと心拍の乖離)」。デカップリングとは何か、デカップリングの読み解き方をご紹介します。
デカップリング(Aerobic Decoupling)って何ぞや?
「デカップリング(Decoupling)」という言葉、最近では「アメリカと中国の対立」の文脈でよく登場します。「Couple(仲良しの2人)」に「de(分ける)」がくっついて「Decouple=分離、関係を断つ」という意味になります。
ロードバイクにおけるデカップリングとは?
ほんでは、ロードバイクでは何と何が「デカップリング」にするのか!? と申しますと、それが今回ご紹介するお話。ロードバイクにおけるデカップリングとは、ざっくり言えば「運動時、時間の経過とともに乖離するパワーと心拍の関係」のこと。
Those of you familiar with the training philosophies of Joe Friel (the guy decoupling big time in the shot above 🙂 will have no doubt come across the concept of ‘decoupling’, i.e. a shift in the power: heart rate relationship as a workout goes on.
The Science of Decoupling
デカップリングってどんな現象?
レース後半、ヒルクライム終盤(中盤!?)になると、同じパワーを出そうとすると心拍が高くなったりしますでしょう?
レース前半は心拍150で250W出せていたのが、レース後半になると心拍160で250Wになる、この現象。ローディーなら誰もが経験ある、パワーと心拍の(後半にかけて広がる)乖離が「デカップリング」であります。
どれくらいデカップリングしてるか確かめてみよう!
後半になると心拍アップアップでパワーを維持できない。「デカップリング」は、自分の「黄金のタレ」の限界値を教えてくれる便利な指標です。では、どれくらい実際に「デカップリング」があるか確認してみましょう。
intervals.icuでデカップリングを確認
さぁここで我らがintervals.icuの出番です。「Activities」から個別の「Activity」を選択。さらに「Activity Power」を選択して、ページの下のほうにいきますと・・・
ドットがいっぱいある謎のグラフがあります。これがデカップリングのグラフです。
デカップリングを見る際の注意点
グラフ下のスライダー(「●――●」)をワークアウトのメインセッションまたはヒルクライムTTに合わせることで、その区間のデカップリングを確認できます。
注意すべきは、デカップリングは気温(室温)、水分補給の状態、運動を行った時間(朝とか夜とか)に大きな影響を受けること。これらはどれも心拍に影響するもの。
それと、もう1つ大事なのは、ライド全体ではなく、ヒルクライムTTのときだけを見たほうがベターです。ウォームアップやクールダウン、その他ゆるポタがあるとデータが濁りますでな。
デカップリングで“仕上がり具合”が分かる
では、デカップリングで一体何が分かるのか? なんとビックリ「有酸素のフィットネス」と「疲労耐性」が分かるんだと(◎_◎;)
デカップリングは±5%の範囲にあることが望ましい
パワーと心拍が最初から最後まで同じような比率で出せれば、「黄金のタレ」になることはありません。ゼーハー疲労困憊することもなく、「有酸素」の土台がバッチリシッカリできていると言えるでしょう。
では、デカップリングをどの範囲で収めるかというと、±5%だそう。これには科学的裏付けがあるのかな? ないのかな? よく分かりませんが、オーバートレーニングを調査した研究で±5%の範囲が良いという結果があるそうな。
なので、±5%の範囲であれば有酸素の土台ができている(後半タレてない)ことが分かり、5%を超えるようであれば改善の余地あり、ということ、だそうです。
In fact, over-reaching studies have typically found either decreased power/pace of ~5% for a given effort (e.g. Coutts et al. 2007, Jeukendrup et al., 1992), OR a decreased heart rate of 5% for a given power/pace (e.g. Hedelin et al, 2000). Therefore, ensuring athletes are within +/-5% of ‘normal’ power and HR is a good policy.
The Science of Decoupling
和田峠TTのデカップリングを見てみる
ではでは、実際にワタクシの例でデカップリングを確認。先日の和田峠TTのデータを見てみますと、デカップリングは3%。
後半にかけてタレ気味ながら、完全にタレてる訳でもなさそう、かしら??
ちなみに、同じ和田峠のデータで、290W出すのに前半は心拍156だったのが後半は170に爆上がりしています。パワー/心拍比は前半1.85に対し後半1.7で、余裕がなくなっているのが伺えます(-_-;)
全力インターバルで見るデカップリング
続いて、もう1つの例。こちらはZWIFT謹製の「The Wringer」という30秒全力+2分弱レストを繰り返すインターバル。こういったショート(?)インターバルでデカップリングを見る意味があるのか、よく分かりませんが、とりあえず見てみると・・・。
あらら、デカップリングが8.4%じゃ(・_・;) 実際キツカッタし、最後ちょっとタレたし・・・。
パワーと心拍の差が特に顕著なのが、レスト時の低領域。ワークアウト前半は心拍130台で140Wとかだったのが、後半は心拍140台。さらに、もっと低いパワーでも心拍が高止まりしているのが見られます。
体感的に、デカップリングが5%を超えるワークアウトは確かに後半タレてますな。高強度インターバルの耐性がつくと、ここら辺のパワーと心拍の乖離も少なくなるのかしら??
以上、ロードバイクの「タレ」っぷりがよく分かる! 「デカップリング」という指標のお話でした。ちなみに、僕の場合、CarsonなどのSSTはデカップリングが1%台かそれ以下になっています。こんなものなんだろうか(・_・;)ミナサンドウナノ??
心拍に全然チャレンジしておらず、体感的にも超楽で「(今までの設定値でのSSTは(僕には))意味ないかなぁ」とウッスラ思っておりました。それがデカップリングでデータ的に示されてしまったような気がしておりますが、はてさて・・・。
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