在庫過多と値上げによる売上減のダブルショックで大変とウワサのロードバイク業界。消費者としては、できれば願わくば「もっと手の届く値段になって!」と言いたいところでありますが、そんなロードバイク界隈にあって、ちょっと古いですが、気になるニュースがありました。労働者への賃金未払に、みんな大好きスペシャライズドが関わっているようなのです。という訳で、本日はロードバイク企業の社会的責任に関するお話です。
スペシャライズドのアパレル製造会社が破産で労働者が路頭に
このニュース、初出は結構古くって今年の春・2024年3月末~4月初旬です。なので、当時すでにニュースで見聞きした人もいるもかもしれません。
今また動画でニュース再掲(ということは解決してない?)
半年近く前のニュースですが、はてさてどういう訳か、8月末のこの時期にイギリスの自転車系YouTubeなCasa Mediaで取り上げられていました。
件のニュースは11:55から始まりますので、よろしければどうぞ。
スペシャライズドのニュースをざっくり要約
「内容は動画観ろ」ではあまりに不親切。スペシャライズドがなぜ、どんな騒動に関わっているのか、以下に概要を記します。
- スペシャライズドほか3社(Gildan、Hanesともう1社(名称不明)の計4社)がアパレルの製造を委託しているAPS社(エルサルバドルの会社)が2022年8月に閉鎖。
- APS社で働いていた労働者831人の賃金および退職手当が未払いに。
- Gildanともう1社(社名不明)は元APS社の労働者に1,340,000ドルを支払うことに合意。
- Hanesは未払い金のごく一部の支払いを提案。
- スペシャライズドは(未払いの件をスペシャに訴えた)労働組合に対して無回答の姿勢。
出典: WRC Factory Investigation: APS El Salvador、Cycling giant Specialized remains stationary in wage theft case
Cycling Weeklyに対するスペシャライズドの回答
APSの労働者および労働組合に対しては回答していない(?)ようですが、Cycling Weeklyの取材にはキチンと(?)答えているようです。スペシャライズド曰く、「ちゃんと(労組と)コミュニケーション取ってるもん!」と前置きした上で・・・
“Specialized takes its commitment to responsible manufacturing very seriously. We have been in constant communication with our supplier that utilized this El Salvador factory in the past and have clearly communicated our expectation that the workers’ claims be handled and resolved appropriately,” Specialized spokeswoman Kelly Henningsen told Cycling Weekly. “While we are not privy to the details of the ongoing legal process involving the workers and the factory, we have been monitoring and will continue to monitor the matter in close cooperation with our supplier and are looking forward to a resolution through the local process and in accordance with our expectation.”
[抄訳] スペシャライズドは製造者の責任をとても大切にしています。このエルサルバドルの工場から調達していたサプライヤーと常にコンタクトを取り、労働者の主張が適切に処理・解決されるべきという当社の期待を率直に伝えています。現在、法手続きが進行中であり、詳細は非公開ですが、サプライヤーと密に連携してこの件の動向を注視し、現地の法規則と当社の期待に沿って解決されることを望んでいます。 (スペシャライズド広報担当:ケリー・へニングセン)
出典:Specialized being pursued for $659,000 owed to Salvadoran workers in unpaid wages, investigation reveals
企業の社会的責任をどう考えるか?
上記のニュースは、前述のとおり2024年の春の初出。でも、その後の続報がないのは、う~ん、なぜなんだぜぇ(;´Д`)
企業倫理のページを開設
さてさて、こういう件はどう考えれば良いのでしょうね。閉鎖したAPS社はスペシャライズドとはアウトソースの関係でしかありません。ということは、実質的に未払いの問題はAPS社にあって、スペシャライズドではないことになります(ですよね!?)。
法的義務はない(と↑の動画でも解説されている)・・・のだから、スペシャライズドは無罪放免?? いやいや、コストを下げるために海外にアウトソーシングしておいて、そこが問題あったら「ワタクシ関係ありません」は、ちょっと今の時代にそぐわない企業倫理なんじゃないですかね!?というのが、このニュース、というか昨今の企業の社会的責任の在り方の捉え方なのかもしれません。
実際、APS社から調達していた他の2社(Gildanともう1社)は(APS社とその債務者が本来払うべき)未払い金を払っています。
でも、これってサプライヤーの問題のどこまでを発注元が面倒見なきゃいけないのか?という話にならないでしょうか? 特にスペシャライズドのように、多岐の部品・アパレルなどを扱うロードバイクの総合メーカーだと、サプライヤーの数も凄いことでしょう。
スペシャライズドがどういう風に対応するのか。ロードバイク業界のトップ企業でありますし、その動向が気になります。続報がありましたら、ぜひとも追ってご紹介できれば。
ちなみに、この件を受けてかどうか、それともずっと前からあったかどうか、スペシャライズドでは製造の責任などの倫理規定を公開しています。会社の根本フィロソフィーにつながるところですので、スペシャ・ユーザーな僕たち私たちは目を通しておきたいものでありますね。
以上、スペシャライズドで考えるロードバイク企業の社会的責任。スペシャライズドのアパレルをつくっていた労働者が賃金未払いで困っているようです なお話でした。
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